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LOOP8・クリア [ゲーム]

ゲームデザインを「ガンパレードマーチ」の芝村裕吏さん、音楽が「逆転裁判」の岩垂徳行さん、プロデューサーが「グランディア」の宮路洋一さんが担当しているとのことだったので、これは面白いゲームになるかもしれない、と思って買ってみました。
日常パートで各キャラとの好感度が上下し、非日常パートでは日常パートの結果が反映されたステータスで敵と戦うことになる、というシステムも割と面白そうだな、と感じたというのもあり。
感覚的には「サクラ大戦」のRPG版みたいになるのかな、と。
それでふたを開けてみたら……全編通してとにかく説明不足で、話があまり頭に入ってきませんでした。
システム周りもいろいろ微妙でした。

この世界は1983年8月の1ヶ月をずっとループし続けている、という設定で、1回目のループが発生するまでがチュートリアルとなっていました。
そこで一通りゲームシステムの説明は行われるものの、ループが発生して8月1日に戻って、じゃあ自由に行動してね、と言われた後にとにかく何をしていいのかまずわからない状態に放り出され、かなり困惑しました。
とりあえず住人たちに話しかけて好感度を上げていけばいいのかな、と思うわけですが、どの程度の頻度で話しかけていいのか、話しかけ続けてもいいのか、好感度は数値で表されているけどどの程度まで上がるのか、全くわからなかったです。
主人公含めた各キャラのステータスも同様ですし、会話を続けていると「加護」というループしても保持されるステータスの+値がもらえたりするわけですが、やみくもに貰っていいものなのか、とにかく全てが手探りで、開始3時間程度でもうゲームが止めたくなりました。
何をやればいいのかわからないし、やったことが正解なのかどうかもわからない、ゲームを進めていく上で不安しかなかったです。

それで数日経過すると、主人公たちと敵対する化け物・ケガイが住人の誰かに憑依するので、誰に憑依したのかを突き止めて、戦闘を行うために非日常パート・黄泉比良坂へと入っていくのですが、この黄泉比良坂に連れて行けるキャラは全12キャラ中5人しかいない、というのもまた混乱の元となるシステムでした。
チュートリアルでイチカとベニが戦闘に参加できるというのはわかっていたのですが、他の3人は実際に黄泉比良坂に連れて行けるかどうか試さないとわからない、という。戦闘に参加できないキャラを連れて行こうとすると黄泉比良坂の手前でパーティから離脱するので、あぁ連れて行けないんだ、とその時初めて気付かされる状態となっていました。
これが時間制限がある中でやらないといけないので、間違えたときに取り返しのつかなさには結構なものがありました。
主人公は朝6時~夜3時まで行動できるのですが、時間はかなり超速で進むので、ちょっと移動して戻って来るだけで3時間とか普通に経過したりするというのもあり、夕方5時を過ぎてから黄泉比良坂に入ろうとしたら連れて行けないキャラだった、となるともう時間が足りないですし。連れて行けるキャラだったとしても移動中に途中離脱したりするので、また話しかけて同行させないといけないとか、時間との戦いがありました。
ボスが確定してから日数が経過すると、その分ボスが強化されてしまうので、とにかく早くポスト戦わないといけないというのもありましたし。
ちなみに、戦闘に連れて行けるのはパッケージデザインの中にいる人たちなので、そこで気付けってことなのかな、と思ったりもしました。

そうやってなんとか仲間を連れて黄泉比良坂でボスと戦うことになるわけですが、戦闘パートはかなり動きがもっさり仕様で、RPGなのになんでこんなに戦闘に時間がかかる作りにしたんだ?、という疑問がまず浮かびました。
設定で演出カットしてもまだ長いと感じるレベルで、とにかく敵も味方も1モーションにかかる時間が長すぎました。
ただ、全編通して戦闘するのはせいぜい10回程度なので、耐えられない演出ではありませんでした。
ジャンルとしてはRPGなのですが、ADVっぽい要素の方が強かったです。
RPG:ADV=2:8くらいでした。

それでボスを倒して再び日常パートに帰ってくるわけですが、エンディングまでこれをただひたすら6回繰り返すだけで、ちょっと単純すぎではないのかな、と感じました。
各キャラとの会話はかなり膨大な数が用意されているのですが、重要な会話のみボイスありだったり、なぜか主人公のセリフがなく相手が一方的にしゃべりまくるという仕様で(ドラクエの主人公と話すような感じ)、主人公にはちゃんと声優がついていて独白という形でしゃべるのに、各キャラとの会話で掛け合いがないというのはいかがなものなのかな、と感じました。

各キャラの個性はそれなりにあるのですが、システムを理解してくるとただひたすら会話を連打していればいいということに気付くので、会話はどうしてみ流し読みになりがちで、多分システムとシナリオの相性が悪いのだろうな、と感じました。
各キャラとの会話に失敗して好感度が下がってしまう、という状態はゲームの最序盤だけ発生する状態で、主人公のステータスがある程度上がってしまえば(ゲーム内で3日くらい)会話に失敗することはほぼなくなり、基本的にただ会話を連打するようになってしまうのです。
どのセリフで話しかけようかな……みたいに思うのは本当に序盤だけで、途中からずっと盲目的に「仲良くしよう」を選び続けていました。

そんな感じで各キャラとの好感度は途中からほぼ作業的な感じで上げていくことになり、ボス戦も楽々……となるはずなのですが、ボスと戦闘参加キャラの「嫌悪」ステータスが高いとボスが強すぎて勝てない状態に陥り、私は4体目のボスで1回ループをかけました。
戦闘参加キャラはその時の気分で適当に決めるのではなく、ボスとなったキャラとの嫌悪がなるべく低くなおかつ戦闘に参加する仲間同士の嫌悪も低くないと、敵も味方も戦闘でボスを強化させるような行動ばかりするようになってしまう、という落とし穴がありました。
ボスキャラが確定した時点でボスが他の全キャラに対して嫌悪を爆上げしてくるという仕様もあったりして、日常パートで予め嫌悪を低くしておかないといけないのです。
この辺り本当にノーヒントで、ループする前提だから繰り返すことでシステムを理解しろということなのかもしれませんが、不親切すぎるよ、と感じました。

肝心のループシステムはというと、ループするとステータスは初期値に戻るけど加護で獲得したステータスは下駄をはいた状態で既にプラス補正されていて、訓練で上昇した分も前回ループの状態までは倍のスピードで上がるということで、周回しやすい作りにはなっていました。
でも、ループすると同じ会話をまた繰り返し見ないといけなかったりして、これが流し読みを助長する原因にもなっていると感じました。

ゲーム中でただひとつ良かったのは、音楽。
主題歌はなかなか良かったです。

グラフィックもパッケージイラストは一昔前のちょっと古臭い感じですが、ゲーム中では割と現代に合った感じの絵になっていて、3Dも頑張っている感じでした。
ただ、視点変更できない、ダッシュできないなど、ちょいちょいストレスがかかる部分はありました。
ロードもかなり頻繁に入るのですが、1回1回がさほど長くないので、そこまでストレスにはなりませんでした。

では、ここからネタバレありの感想です。

まず、主人公は宇宙ステーション生まれで、宇宙ステーションがケガイに襲われて地球に降りることになったという設定があるのですが、この設定が本編でほぼ活かされていないのは非常に残念でした。
おそらく、主人公がテラスの孫だという設定のために、宇宙ステーションで地球と経過時間が違うっていうのを出すためだと思うのですが、そもそもウラシマ効果って高速で動いている方の時間経過が遅くなるから、地球にいるテラスが年を取っていない理由付けにはならないよね、とは思ったのですが。
どうも、主人公が滞在する葦原中つがループしまくっているから宇宙空間と時間がずれたということで整合性は取れるようなのですが、だったらもう宇宙ステーションの意味ないじゃん、と。

主人公の周囲の人たちに関しては、日本神話がベースになっていて、アマテラスオオミカミ・ニニギノミコト・コノハナサクヤヒメ・イワナガヒメ辺りの関係がそのままゲーム内での関係になっていて、それが主人公たちの前世ということになっているようでした。
これを知っている前提で話が進むので、ザックリしか知らなかった私としては、やたらにコノハがイチカに対して敵意を向けている意味とか、ホオリがいきなり主人公をお父さん呼びしてくるのとか意味不明すぎて、話について行けない部分があったりしました。
ボスとして戦うことになるキャラ、味方になるキャラにもそれぞれ神が取り憑いていますし、加護を与えてくれる神様についても設定自体はちゃんとしていると思うのですが、何せその設定がサラッと流されるように説明されるか、もしくは知っている前提で何も説明されないことも多々あるので、制作者側が考えるほどの熱量で話に入ることができませんでした。

他にも、マキナはマックスが亡くなった妹に似せて作ったロボットだという設定なのですが、マキナがロボットであるということを序盤からマキナ自身は口にするものの、プレイヤー側の私としてはただの不思議ちゃんだと思っていて、最後までマキナがロボットだという事実が否定されないので、あぁ本当にロボットだったのか、と最終段階になって初めてそう思うようになりました。
単純に腕が外れるとか、体からオイルが漏れるとかの絵的な表現があればよかったのですが、マキナがロボットだというのをマキナ自身とマックスしか触れないので、最後の最後までロボットではないのではないか、という疑いが消えませんでした。
序盤ではマックスのマキナに対する嫌悪が高い状態で、妹に似た妹ではない機械に対して愛憎入り乱れる感情を持っていたというのがわかり、会話を進めていくと2人は最終的に和解するのですが、主人公に対して個別にお互いの存在を認めると言うだけで、マックスとマキナが直接会話するような場面がないので、いまひとつ和解した感じがしなかったのもマイナスでした。

これは全てのキャラについても同様で、各キャラと主人公は会話をするし、各キャラが他のキャラに対してどういう好感度状態なのかを数値的に見ることは出来るのに、主人公以外のキャラ同士が絡む会話がほぼ存在しないので、いまいちキャラ同士の関係性が把握しにくくなっていました。

そんな中で1番の曲者だったのがミッチで、主人公とミッチの好感度が高い&主人公が他のキャラと好感度が高い状態となると、ある瞬間にヤンデレ化して主人公を刺してゲームオーバーになる、というトラップが仕掛けられていました。
主人公が死ぬとループするんじゃないのかと思うわけですが、そうではなくゲームオーバーでセーブしたところからやり直しになる意味は理解できませんでした。

ヒロインポジションのコノハもわりとヤンデレキャラで、主人公が振り向いてくれないから世界を滅ぼそうとしたような子だったりするので、ここでキャラ被りするのはどうなんだろう、と思ったりもしました。

そもそものシステムとか、ヒロインがラスボスとか、最後の最後で世界を選ぶかヒロインを選ぶかの選択を迫ってくる辺りのストーリーとか、決して悪いものではなかったし、上手く活かせばそれなりの作品になったとは思うのですが、それを活かしきれずに終わってしまっていた感じがしました。
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