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超探偵事件簿レインコード・クリア [ゲーム]

「ダンガンロンパ」シリーズのスタッフによる新規ミステリ作品ということで、これはプレイしないわけにはいかない、と思って発売間もなくプレイしてみました。

超探偵と呼ばれる特殊能力を持った探偵たちが様々な事件を解決していく、という大まかな設定だけを見ると、「ダンガンロンパ」シリーズだったり「探偵撲滅」に近しいものを感じました。
ただ、大きく違うのは、「ダンガンロンパ」シリーズは1話の時点で主要キャラは全て出しておかなければならない、という制限があったのが今作ではなくなっているので、被害者や加害者含めて毎話新キャラが出てくる、というある意味正統派な作りとなっていました。

超探偵の能力に関しては、ほぼ全員現実世界では存在しないだろう超能力持ちということで、かなり振り切った作りになっていました。
これまで何作か超能力ありのミステリ作品はプレイしましたが、霊媒だとかサイコメトリとかせいぜいこのレベルでしたが、今作では事件発生時の映像が見えるとか、時間が戻せるとか、現実世界では絶対ないな、という能力ばかりでした。
この辺りは好みが分かれるところかもしれません。

キャラは全体的に濃くて、この辺りの作り方はさすがだな、と感じました。
主要キャラで印象に残らないとか個性がないキャラっていなかったですし、今作のマスコットキャラ・死に神ちゃんは特に個性大爆発でした。
ただ、主人公との関係性は(ちょいちょい皮肉ってきたりぞんざいな扱いをするけど、最終的には助けてくれる)「ソムニウムファイル」似ているな、と感じました。
謎迷宮が現実世界と似た作りをしているので、その辺りの印象も被りました。

システムに関しては、とにかくロードが長いのがストレス、ということに尽きました。
場所移動の度にロードが入りますし、それが普通に20~30秒待たされるなんてザラですし、謎迷宮では1分近く待たされることもありましたし、とにかくロードロードロードの連続。
謎迷宮では謎に走らされる場面が多々あるのですが、走ってる裏でロードしているのかと思いきや、一通り会話が終わると強制的に走るのが終わってロードが入るとか、一体何のために走っているんだ?、と何度となく思いました。

ロードが長いというのがわかっているためか、ロード画面で作中の豆知識がランダムで表示されて読むことができるという機能もあるのですが、まだ登場していないキャラや場所の裏情報が出てきて、それってある意味ネタバレじゃないのかな、みたいなのがあったりしましたし、読みたい文章を読めるわけではないので、中途半端に読み進めていた文章を読み返せないとか、それはそれでストレスになる部分もありました。
クリア後にまとめたものが出てくるかと思っていたら、出て来なかったですし。

謎迷宮内でのアクションは「ダンガンロンパ」と似た部分が結構あって、じっくり考えるというより瞬発力で正解を選んでいく感じでした。ただ、「ダンガンロンパ」より全体的な難易度は低めでした。失敗してもそこまでペナルティが大きくないというのもあります。
反面、謎迷宮内だけでなくQTEが何度となく発生するのですが、このタイミングが割とシビアで、1回で成功できないことも多々ありました。

ストーリーに関してはネタバレで詳細を書きますが、かなりよかったです。
物語の真相に迫る最終章は手が止められなくて、一気にクリアまで持って行ってしまいました。
そこに辿り着くまで、事件に関係ないようなただただ登場人物の会話を追っているときとかは中だるみみたいになったりもしましたが、最終章の怒涛の伏線回収は凄かったです。

では、ここからネタバレありの感想です。

最初から順に語っていくと、第0章はいかにもシナリオ担当の小高さんらしい作りだな、と感じました。
「ダンガンロンパ」シリーズの第1話は、どの作品も「このキャラが死ぬの?」っていうキャラが死ぬ作りでしたが、この作品はそれ以上でした。
パッケージデザインにも起用されている超探偵10人中5人がここで死ぬなんて誰が想像できるのか、と。
何なら能力を披露することなく即行で死んだキャラもいましたし。
この辺りの驚かせ方はさすがだな、と感じました。
ただ、犯人が火事に紛れていろいろやったところは、タイミング的にちょっとでもズレてたら犯人死んでるよね?、というもので、そこはちょっと雑だったかな、と感じました。

第1話は密室殺人が4つ発生するという、これまた面白い切り口だな、と感じる話でした。
全ての事件が同じ犯人ではなく模倣犯が混じっているとか、一筋縄でいかない部分があったりしたのもよかったです。
でも、この話にも気になるところはあって、窓から垂らされた縄梯子の中央を切りながら降りる、というトリックについて、縄梯子の縄を切るのって相当力が必要だし、それをナイフでやるのって相当時間がかかって見つかるリスクが高くない?、と思ってしまいました。

第2話は犯人が3人共犯というちょっと珍しい形だったのはよかったです。
3人がそれぞれかばい合ってアリバイなどを確保しているので、犯人が1人だと考えるとどうしても行き詰ってしまう、という。
しかしながら、この話にもそれなりにツッコミ所はありました。
空気に触れると30分で無毒化してしまうという毒が出てくるのですが、それが保管してあるのが3リットルくらい入りそうな巨大な瓶で、瓶ごと持ち運べない、というのを示すためだというのはわかるのですが、そもそもその薬品を本来の目的で使うときにものすごく不便では?、と。
他にも、毒入りのグラスを選ばせるトリックが金田一少年の事件簿にある「異人館ホテル殺人事件」そのまんまだったり、毒はグラスに仕込まれているのが一目瞭然なのに、警察的な役割のある保安部が最初に犯人に指名したのが小道具のワインを用意した子だったり。せめてそこはグラスを用意した子じゃないのか、と。

第3話はストーリーもトリックもちょっといまひとつでした。
犯人の動機が安っぽかったり、犯人の逃走経路が20メートル下の排水溝に飛び込むというもので、いくら高飛び込みの選手でもちょっと狂ったら死ぬよ、と。真下に飛び込むわけでもない位置に排水溝がありましたし。
それに、排水溝の存在がわかったのが謎迷宮に入った後の逃走経路を考える途中という直前も直前で、そこはちょっとフェアじゃないのでは、と思ってしまいました。

そんな感じで、ここまでは悪くはないけどちょっと腑に落ちない、という部分が多々あって、ロードの長さも相まって、作品の評価は私の中ではあまり高くなかったです。
でも、4話から大きく巻き返していきました。
これまでの話だと、犯人もトリックも謎迷宮を解いていく最中でなんとなくわかってしまっていたのですが、この話の毒ガス部屋を越えるトリックは言われるまでわからなかったです。
また、犯人についても「この謎迷宮の最大の謎をあえて避けているんじゃないの?」と指摘されるまでわかっていなくて、まさかこの人が、となりました。
これまでの話は被害者も加害者も新キャラたちだったので、ここもそうだろうという心理的なミスリードにまんまと引っかかってしまいました。

そして、最終話。
カナイ区が鎖国している理由、雨が降り続ける理由、マコトの正体などなど、全ての謎が一気に解かれる過程はものすごく吸引力がありました。
マコトが仮面をつけた状態で初登場してきた第3話の時点で、多分主人公のユーマと同じ顔なのだろうな、というのは薄々気づいていましたし、マコトがホムンクルスの唯一の成功例だということも中盤くらいで分かったのですが、そこから導き出されるユーマの正体については言われるまでわからなかったです。
なんならユーマもホムンクルスの成功例だと思っていて、実は成功例が2人いたとか、ホムンクルスをベースにしたホムンクルスなんじゃないかと思っていたくらいでした。
血の色についても、それ伏線だったんだ、と驚かされましたから、最終話の出来は本当に素晴らしかったです。
話としては続編を作れなくはないけど、「レインコード」としての話はキッチリ完結していたので、下手に続編を匂わせるような作りでなくてよかったです。

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