SSブログ

創竜伝・完結 [小説]

この作品と出合ったのはやっぱり高校の図書館で、完結まで追ってきた「アルスラーン戦記」「宇宙皇子」などと同じでした。
また、田中芳樹さんの作品として初めて読んだのが「創竜伝」の1巻でした。
当時OVAが発売されるなどもあって、タイトルを何となく聞いたことがあるくらいの認識だったのですが、流行っているなら面白いのだろうと思って読み始めました。
読み始めた当初は6巻くらいまで発売されていて、確か図書館では8巻くらいまで読んで、以降は自分で買って読むようになりました。

当時の印象だと、まあまあ面白い作品だな、という感じでした。
むしろ、同じ作者の別作品を読んでみようと手に取った「銀河英雄伝説」にドハマりしたくらいで、私の中での田中芳樹作品ランキングとしては、銀河英雄伝説>アルスラーン戦記>創竜伝>タイタニア>灼熱の竜騎兵くらいの順番でした。
ただ、当時の刊行ペースだと「創竜伝」が一押しという感じでしたし、バレンタインにチョコを送るとお返しがもらえるというのを「創竜伝」のあとがきである座談会で知ったというのもあって、チョコは竜堂四兄弟宛に送っていました。
まぁ、チョコを送った最初の年に阪神淡路大震災があって、お返しは寄付するという手紙が届いて心底ガッカリしたりとかもあったのですが(今なら確かにそうすべきだと納得できるのですが、当時は若かったこともあって納得できず)、翌年はちゃんとお返しが届きました。

その後就職してからはチョコを送ることもなくなったのですが、新刊チェックは欠かさず行って13巻までは発売日当日に買っていました。
ただ、12巻から3年ぶりに発売された13巻では、巻末の座談会で911テロの後のアメリカのやり方についてものすごい批判が書かれていて、本編よりもむしろその印象が強かったです。
政治的なこととかを作者がどう考えていようと私は気にならないタイプなのですが、巻末のおまけとはいえ登場人物の口を借りてその作者の思いを話しているという風に捉えてしまって、それはどうなんだろう、と思ってしまいました。
他にも、当時流行っていた終末論を皮肉たっぷりに煽っていたりもして、その座談会を書くために本編を書いてこの時期に出版したんじゃないか、とすら思ってしまって、本編のことはあまり記憶に残らなかったです。
まぁ、刊行ペースが早かったときは本編に結構な政治批判が入っていましたが、本来1990年代後半の時代設定だったのがそれを現実が通り越してしまったせいで、書ける場所が座談会しかなかったという風にも思うのですが……どうにもこうにも納得できませんでした。
11巻、12巻と番外編で久しぶりの本編再開というのもあり、ウッキウキで読んでみたら話はあまり進んでない上にあの座談会、ということで、いろいろショックでした。

※ここからネタバレ入ります

で、それから17年。
記憶している内容は、
・竜堂四兄弟イギリスで大暴れ(小早川奈津子も一緒)
・日本では富士山噴火中
くらいでした。

「アルスラーン戦記」はなんやかんや数年毎に新刊が出ていたので話をおおよそ覚えていたのですが、「創竜伝」はブランクが17年あったのと13巻ショックでかなり記憶が曖昧でした。

そんな感じで14巻を読み始めて大丈夫なのかな……と思っていたのですが、意外と大丈夫でした。
四兄弟たちが日本に帰ってきていて、小早川奈津子は京都幕府を立ち上げて日本から独立しようとしている、という部分から始まっていたものの、理由はよくわからなくてもこれはこれで話が理解できるからまぁいいか、と。
何やかんやで敵が襲ってきて、竜堂四兄弟は降りかかる火の粉を払っていく感じで話は進みましたし、その都度現状の説明があったりしましたし。

その後、14巻の終盤で敵の本拠地らしい場所がわかって、最終巻ではラスボスも登場して、読み終わってみれば悪くない終わり方だったかなぁ、と思えるようになりました。
他の田中芳樹作品にあるように、主要登場人物が死ぬとかありませんでしたし。
ラスボスを追いかけるためにまずは修業を始める、というところで終わっていたものの、四兄弟がどうにかして人間の世界で目立たないように暮らして行くのかを考えるというのではなく、仙界を拠点として新たな目標を見つけて終わるという形だったので、希望が持てる終わり方だったなぁ、と。
この終わり方だったら、別の組織がまたどこからかやって来て四兄弟を襲うとかもなさそうでしたし。元の生活に戻ってもまた繰り返しになる未来が見えるより、全く新しい世界になるならその方がずっとよかったと思います。
また、最終巻を読むまでなぜ12巻で過去の仙界での話を書いたのかわからなかったのですが、結末を読んだら納得できました。最後の最後で仙界がガッツリ絡んでくる展開だったので、これはあった方がよかったな、と。

ちなみに、散々大暴れした小早川奈津子に関しては、最終巻の終盤で体に取り込んでいた竜の血の効果が切れて死亡、となっていました。
誰かに倒されるのではなく、エネルギー切れでの死亡は彼女らしいと思う一方で、死ぬタイミングが絶妙によかったのはちょっと都合がよすぎる感じもしてしまいました。
エネルギー切れに関する伏線がもう少しあったら違ったのかもしれませんが。

その他、1巻発売当初は携帯電話もあまり普及していない世の中だったものが20年以上経過してしまったので、14巻以降は普通にみんなスマホを使って報道用にドローン飛びまくりでした。
あまり本編に関わらない部分ではあるのですが、その辺りは年代を本当の1990年代に縛らなかったんだなぁ、と妙に印象的でした。本編内での時間は1年経っていないってことになっていますが、その間にいろいろ発達したので現代に合わせたようでした。

ひとまず、完結を諦めていた作品がこうして完結してくれたのはよかったです。
nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:コミック

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。