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Root Film・クリア [ゲーム]

「ゼノブレイド2」でガッツリRPGをプレイしたので、ここいらでミステリー系アドベンチャーを何かプレイしてみたいな……と思って買ってみました。
発売から半年くらいでDL版が60%OFFで売られていたのでちょうどいいかと思いつつ、こんな短期でこれだけ割引するのって見えている地雷なのかも、という一抹の不安も抱えつつ。

それで一通りプレイしてみたわけですが、中身は20年くらい前のアドベンチャーゲームみたいな感じでした。というか、システム自体「ミステリート」にすごく似ていました。
特許を取っているわけではないと思うので裁判沙汰になることはないと思うのですが、画面クリックができる部分が枠で囲まれているのはプルーフターゲットシステムですし、事件に関係のある情報が出てきたときに特殊音がするのはディテクティブ・チャージシステムですし。
まんま「ミステリート」のシステム持ってきました、という感じでした。
特定の場所で特定の情報を得てフラグを立てて進めていくオーソドックスなシステムで、調べる場所を総当たりすれば詰まることもなかったのは一長一短だった感じでした。もう少し難しくしてもよかったような。

ストーリーは島根を舞台にしていて、しっかり島根の名所や伝承を取り込んでいましたし、グラフィック自体もかなりきれいだったのですが、ほぼ絵が動かないのはどうかと思いました。
立ち絵は左右反転した使い回しとかが多く、何しろ通常シーンで表情差分がないので(推理パートは表情差分アリ)、シリアスな顔をしながら冗談を言うような場面、その逆も多数。目パチ・口パクもなく、ほぼ全て静止画でした。
20年以上前にフルアニメーションアドベンチャーが存在していたのに、2020年でこれ!?、という。
フルボイスではあるのですが、別撮りのせいで若干整合性が取れていない場所(※後述)もありました。
声優さんたちはベテラン2人を除いてそこまで有名な人たちではなかったものの割とみんな上手かったのですが、ゲストで本人役をやった人以外で何人か棒読みだったりキャラの設定年齢にそぐわない声だったりして、それはどうやらほとんどの声優さんを81プロデュースという事務所所属の人たちの中から集めたからだと思われ、何かゴリ押しのようなものを感じました。


AのセリフをBがオウム返しするときイントネーションが違う。
A「サトウなんですよ」(佐藤の発音)
B「サトウなんですか!」(砂糖の発音)
その他、3人いるシーンで2人は「夜神楽」を「ヨカグラ」と言っているのに、1人だけ「ヨルカグラ」と言うなど。文字とボイスが合っていないとか、句読点が文章の頭にくる禁則処理ができてないとかも。

ゲームの売りである共感覚については、単純に事件に関係がありそうな情報をプレイヤーに知らせるためのツールでしかありませんでした。共感覚が謎解きに関係してくることもなく、共感覚で得られるはずの情報を取り忘れていて推理パートで詰むとかもなかったです。
一応、共感覚はとある血縁者たちの間で持っている人が出やすい、という設定はありましたが……

推理パートで犯人を追い詰めるところはすごく簡単な逆転裁判みたいで、共感覚で得た情報を犯人にぶつけていくわけですが、その選択肢がせいぜい4つ、少ないときは2つしかないので、ほぼ間違えようもなく、あまりゲームをしている感覚がなかったです。
ちなみに、誰が犯人なのかというのはストーリーを進めていくと主人公が勝手に特定してしまうので、そこはプレイヤーに選ばせてよ、と思いました。
主人公が犯人を名指しする頃にはほぼ犯人の目星はついていますし間違いようもないレベルなのですが、でもやっぱり選ばせてくれた方がゲームっぽかったなぁ、と。

シナリオに関してはネタバレ以外のところで1つ気になったのが、シーン切り替えとか話をまとめる時に必ず「~のだった。」で文章が終わること。
ライターさんの癖なのだと思うのですが、いろんなゲームをプレイしてきてこういう文章を書く人がいなかったというのもあり、これが気になって仕方なかったです。

総プレイ時間は15時間くらいで、システム面やボリューム、アニメーションがないことなどを考えると定価の約7000円はちょっと高すぎる印象です。
60%OFFの3000円くらいで値段相応かな、という感じでした。

では、ここからネタバレありの感想です。

ストーリーは八雲編が5話、リホ編が2話で、八雲編4話以降はリホ編が終わっていないと進められない、という作りでした。
それはなぜかというと、リホ編が実は劇中劇で、10年前にお蔵入りになったドラマだったという設定だったから。
この辺りの事実がわかる辺りは八雲編とリホ編が現代で繋がっているようなミスリードもあったり、リホ編が実は10年前だというのをほんのり匂わせていたり、リホが連続で事件に遭遇することに誰もツッコまなかったり、などいろいろな伏線もあって悪くはない感じがしました。
他にも、何の関係もない事件を解決していっているように見えて実は全ての事件がつながっていたとか、ただのスパムメールを送ってきているだけの自称霊能力者が実は全ての事件の真犯人だったとか、練られている感じがしてよかったです。
ただ、そこまでなるほどなぁ、と感心することもなく、あくまで悪くはなかったな、というレベルでした。

1番気になったのはリホ編の2話で、徒歩20分先の山の中にピアノ線を張って死体を運ぶとか、クローズドサークルの舞台になる館に真空実験室があってそこで窒息死させたとか、そんなトリック無理矢理すぎるでしょ、というのがてんこ盛りでかなり萎えました。
これが劇中劇だとわかったときは、予算潤沢なサスペンスドラマという設定だから大掛かりなトリックを使った話にしたのかな、とも思ったのですが、これを世界に名をとどろかせるような監督の遺作だったという設定も出てきたときは、それほどの監督がこんな無理矢理なトリックを使った作品撮るかね?と思って、どうにも納得できなかったです。

設定に関しても、難病を抱えている若手女優が2人出てくるとか、双子が2組出てくるとか、ちょっと都合がよすぎるのでは、と思ったり。

あくまで3000円くらいで気軽に楽しむならそこまで悪くはない、くらいのゲームでした。
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