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でたまか・完結 [小説]

※今回の日記はどす黒くないです。ご安心ください。(やや批判は入りますが)

この作品はコンスタントに続編が発売されて、最後まで非常に読みやすい環境で読むことが出来た作品でした。
作品を買い始めたのが第2部の2巻が出たばかりくらいの頃だったのですが、第1部を読む限りだと、どうしても「貧相な銀河英雄伝説」に見えてしまって、あまり馴染むことができませんでした。
結末がわりと意外だったのでその場で読むのを止めることはなかったのですが、もし第1部が大団円だったら、続きは読んでいなかったかもしれません。

特に気になっていたのが主人公・マイドのライバルとして出てくるアリクレスト。
見た目が銀河英雄伝説の主人公・ラインハルトそっくりなんです。
作者には全くそういうつもりがなくても、ビジュアルが似ていることもあって、銀河英雄伝説を意識していて、ラインハルトあえてを生まれながらにして大きな権力を持っているバカな貴族として出しているのかな、と無意識に勘ぐってしまうところがありました。

その気持ちは第2部になっても続いていて、つまらなくはないけどこのまま読み続けてもいいことあるのかなぁ、というレベルになっていました。
詳細はネタバレのところで語りますが、とにかくアリクレストが気に入らなかったから読みたくない、という思いが強かったです。

でも、第3部は言葉も通じない宇宙人・ザナックスと戦う話になって、以後はわりと面白く読むことが出来ました。
これだけ宇宙人と真面目に戦う話(褒め言葉)は今まで読んだことがなかったので、読んでいて新鮮でした。
ウェストウィックIIの話など、ちょっと表現がくどいな、と思うところはありましたが、悪くない終わり方で、読後感もそれなりによかったです。


以下、ネタバレありの感想です。


この作品を最初好きになれなかった理由の筆頭であるアリクレスト。
若くして帝国の皇帝になってしまうところも、銀河英雄伝説を意識しているんじゃないかと勘ぐるところもあったキャラです。
彼に関しては何の前触れもなく、何の説明もなく、中盤に大きな性格の変化があったのが、一番嫌いなところでした。

最初はただバカなだけの貴族の青年としてアリクレストは描かれていました。
例えば、帝国をあげての決戦のとき、作戦名が「100万艦隊~~」というものだったら、辺境から軍艦をかき集めて本当に100万隻用意させたり、決戦の真っ最中につまらないとかの理由でどこかへフラフラと行ってしまったり。

このキャラで統一されていればまだしも、その後アリクレストは結構できる人だ、という設定が出てきたからさあ大変。
マイドを要注意人物だと早くから意識していたり、権力に溺れている他の貴族とはまた違うんだというのが出てきたり。
これで何事もなかったようにアリクレストはできる人だ、というので最後まで行くのかと思ったら、最後の最後でこの人はやっぱりバカでした、というところで死んでしまって、結局なんだったんだろう、と思ってしまいました。
他にも性格変化したキャラがいたのですが、そのキャラについては理由が語られていたので、作者の中でアリクレストっていうのはあの性格で整合性が取れているのかな、と思ったりも。
本当に何だったんだろう。

でもまぁ、それ以外はなかなかよいキャラたちが集まっていましたし、ザナックスとの戦いは本当にいいと思いました。宇宙空間で艦隊戦をやるとどうしても銀河英雄伝説とかぶってしまったのですが、ザナックスとの戦いは心理戦があまりない分、これはこういうものだ、というので楽しめたのがよかったです。

毒に倒れたメイを助ける方法にしても、簡単に解毒薬があるとかの話にしていなかったのもよかったですし。

最終的には、この巻数でこれだけのものが読めればまあまあかな、と思いました。
小説は長くなるほど惰性で続いている、というようなものを多く読んできたので、その中ではなかなかの出来だったな、と。
でも、この作者の別作品も買ってみよう、という気にはなれませんでした。
そこまでいくには、あと1歩足りなかったな、と思います。


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M1号

奈良さんは結構ライトノベルも読破されているみたいですが、「涼宮ハルヒの憂鬱」シリーズなどはどうでしょう?
ブームに便乗したほうが思わぬ当たりを掴み取れるかもしれませんし(ついでにコミック版・アニメ版のレビューも出来て一石二鳥かと)
by M1号 (2007-03-17 21:41) 

minerva

ハルヒは私にあまり合わないんじゃないかなぁ、と思ってちょっと避けているところがあります。
旦那さんが1巻を買って読んでいたのですが、ちょっと合わないと言っていたこともあって。
5巻くらいまで読めばなんだかよさそうっぽいのですが、そこまで耐え切れないかな、と思ったりも。
「マリア様がみてる」もそんな感じで読んでいないですし。

ただ、最近ライトノベルの新規開拓をしていないので、何か読み始めたいなぁ、というのはあるのですが。
by minerva (2007-03-21 22:00) 

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