SSブログ

トライアングルストラテジー・クリア [ゲーム]

ストーリー分岐と高低差バトルが売りの本格派シミュレーションRPGということで、「タクティクスオウガ」とか「ファイナルファンタジータクティクス」っぽいのかな、と思ってプレイしてみることにしました。

「オクトパストラベラー」「ブレイブリーデフォルトII」と同じ開発会社ということで、グラフィックはドット絵、ムービーなし、とにかくグラフィックよりもストーリーで魅せますよ、という姿勢にはなかなか好感が持てました。

総プレイ時間は110時間くらいで、全てのキャラを仲間にするために4周しました。
1周目は45時間、2周目は35時間、3・4周目は15時間くらいで、3・4周目はほぼ同じルートを辿ったのでスキップしまくりました。
エンディングはノーマルEND的なのが3種類、真ENDが1種類なので、普通にプレイするなら1周目は攻略サイトを見ないでプレイして、2周目で真ENDルートを通って最終分岐前でセーブして残り3種類のエンディングを見る、というのが効率的な流れになるかと思います。
まぁ、それだと全員仲間にならないので私は4周したわけですが。
2周でおおよそ全キャラレベルはカンストしますから、制作側としても2周プレイしてもらうのが前提で、3周目以降はおまけくらいの感じなのだと思います。3周目以降はかなり作業感がありましたし。

システムは全体的におおよそ問題ないのですが、もう少し痒い所に手が届く仕様だったらなぁ、と思うことが多々ありました。
例えば、戦闘以外の会話シーンは初見でも早送り・スキップができるので、やり直しのときとかに何度も同じシーンを見なくていいのはよいと思うものの、既読スキップ機能がないので、下手にスキップしすぎるとルートごとの差分がわからない、というのがありました。
同じシーンであっても進んできたルートによって結構細かくセリフを分けている作り込みには感心するのですが、既読スキップがないので「これは別ルートの時セリフ違っていたよね」、という確信が持ちにくかったり、せっかく細かくセリフを変えているのにスキップしてしまったりする人も多分多いと思われ、細かい作り込みを実感できる場面が少なくなっていたのは残念でした。

また、話のあらすじは後で確認できるものの、各ユニットの掘り下げである挿話は見返すことができないので、誰を見て誰を見ていないんだっけ?、みたいな状態にもなりやすかったです。挿話はセーブしていない限り1回見たらそれっきりなので、流して見られないというのが後々わかって、ちょっと困りました。

戦闘に関しては見た目はほぼほぼ「タクティクスオウガ」、細かいところはいろいろ違う、という感じでした。
この世界は技に関してМPではなくTPという概念で、初期3スタート、順番が回ってくる度に1回復、技が強いほど消費TPも多く、技やアイテムによってTP増減も可能、という設定。その中で魔法はおおよそTP2使用なので、魔法系キャラは2ターンに1回は魔法が使えない、ということで、魔法系キャラがあまり強くならないようにしている感じがしました。
汎用性が高いのは弓兵なのですが、総じて命中率低めに設定されていて、アクセサリによる強化や技による命中率アップで命中率を補わないといけない感じになっていました。
アイテム特化型のユニットとかデバフ専門ユニットなど使いにくいユニットも何人かいましたが、総勢30人の仲間ユニットはきちんとキャラ分けされていてなかなかよかったです。
仲間になった後でユニットの深堀りが描かれる挿話が全ユニット2パターン用意されているのもよかったですが、前述のように後で見返すことができないので(周回プレイしても複数回は見られない)、そこは少し残念でした。また、挿話で絡むユニットがストーリーの都合上アンナ・ジーラ・エラドール・ヒューエットに限られるという制約があり、挿話のメインユニットと前述の4人の誰かの話になってしまっていて、横の繋がりがちょっと狭く見えてしまいました。
トリッシュとトラヴィスとか、どちらも仲間になった状態で特殊な挿話が出るとか、そういうのがあればなぁ、と思いました。

戦闘難易度は最初ノーマルで始めてクリアし、2周目以降は戦闘がちょっと苦痛になってきたのでベリーイージーで進めました。
ノーマルで適正レベルで戦うと1~2人倒れるけどマップクリアは出来る、くらいの感覚でした。
難易度が上がるほど味方のダメージが小さく、被ダメージが多くなる感じで、敵の思考レベルが変わるというわけではありませんでした。
「ファイアーエムブレム」のように味方が倒されたらもう復活しないとかはないので、敗北条件に誰かの死亡がなければ基本的に誰か1人でも生き残っていればOK、ただし全体的に割と良く死ぬ、という感じでした。

戦闘ではそのマップのボスとある程度関係のあるキャラだと攻撃したり近付いたりすると特定のセリフが出てくるとか、ラスボスに関しては全員分の個別セリフが用意されているなど、芸の細かいところはなかなか好きでした。

ユニットの成長に関しては割と楽な感じになっていて、クラスアップと武器レベルアップのみを素材とお金を使ってやっていく形でした。装備として変更できるのはアクセサリのみで、このユニットは二刀流でこのユニットは両手剣で……みたいに選ぶことはありませんでした。
素材集めでマラソンしないといけないとかはほぼなく、店売りと敵からのドロップでおおよそ賄えるのですが、それなりに想定バトルをやっていても最後の最後までお金が余ることはありませんでした。
4周やりましたが、全キャラの武器強化を終えることは出来ませんでしたし。
ユニットレベルは2周でほぼカンストするところから考えると、武器の成長にちょっと重点を置き過ぎかな、と感じました。

ストーリーは架空の世界のノゼリアという大地が舞台で、そこが3つの国に分かれていて、30年前の塩鉄大戦の傷がようやく癒えてきて、三国共同採掘によって和平の道を歩もうとしている……というところからスタート。
この3国の設定がなかなか上手くて、完全実力主義の国、古くから続く絶対王政の国、宗教によって全ての人が平等な国、ただしどの国にも政治的な歪みはある、という。
主人公は絶対王政の国の御三家筆頭の当主という立場で、レジスタンスのリーダーというわけでもなく、名家の生まれでも権力がないというわけでもなく、亡国の王子というわけでもない辺り「タクティクスオウガ」「ファイナルファンタジータクティクス」「ファイアーエムブレム」とはちゃんと分けられているのだな、と感じました。

また、主人公のセレノアとフレデリカの政略結婚が決まってフレデリカがセレノアの下に来るところから話は始まるのですが、2人とも結婚は義務と捉えていて、好きだの嫌いだのの恋愛感情は皆無。そもそも顔を合わせることがないまま結婚が決まっていたので、むしろ結婚が決まってから関係を築いていく、という辺りは世界観がキッチリしているなぁ、と感じました。

ストーリーは結構練られていて、この作品の肝である大きなストーリー分岐は初見プレイだと本気で悩みました。ストーリーが進むに連れて、それまでの選択肢の選び方によって蓄積されている信念ポイントの値によって選択肢が実質選べなくなってくる辺りも上手いと感じました。信念ポイントは蓄積だというのと、1周目は3つある信念のうちどれにどれだけ割り振っているのか見えないのが2周目以降可視化されるので、2周目以降は全選択肢問題なく選べるようになる辺りもシステム的になかなか良かったです。

エンディングに関しては、真ENDは絶対に見ないといけないレベルのもので、3種類用意されているノーマルENDだと何かしら後味が悪かったです。全ノーマルENDを見た後で真ENDを見ると、なかなかに感慨深いものがありました。

では、ここからネタバレありの感想です。

PVとかの情報だと、主人公のセレノアが婚約したことで世界情勢が乱れ始める、みたいな触れ込みでしたが、ふたを開けてみるとセレノアの婚約は話の導入部ではあるものの実際の世界情勢の乱れのきっかけは新鉱山から岩塩が発見されてしまったこと、でした。
この世界には海がなく、東西南北に世界の果てがあって陸地のみの世界。唯一塩が取れるのは宗教国のハイサンドの塩湖のみということで、この世界観に岩塩を持ってきたのは本当に上手いな、と感じました。
岩塩は序盤で発見されるものの、セレノアがその事実をつかむのは話のかなり終盤になってから。中盤にローゼル族の村で岩塩が見つかった時点で、新鉱山で見つけた何かは岩塩だと気付きましたが、初めはもっと違うものだと思っていました。

というのも、私が今までプレイしてきたシミュレーションRPGのラスボスは全て人外の何かで、それは竜だったり悪魔だったりゾンビ的な過去の人だったり、とにかく人外の力を持っている何かでした。
なので、序盤の新鉱山で何かを見つけたとわかったとき、大昔に封印されていた悪魔的な何かだと思っていました。最終的にはそれがグスタドルフなり誰か何に取り憑いてラスボスになるのではないかな、と。

ということで、ノーマルENDを見る中でラスボスが人外の何かではなくちゃんと1人の人だったパターンが2つあって、巡り巡ってこれは今までにないパターンだったな、と思って結構感動しました。
シミュレーションRPGって最初は人同士や国同士の争いを描いていても、最終的には人対悪魔の話になるとか結構あったので、最後の最後まで人対人の話だったのはよかったなぁ、と。
……まぁ、真ENDのラスボスは人外になってしまっていたので、そこはちょっと残念でした。
やっぱりラスボスは強くないといけないので、単純に人が強いっていうより未知の力が加わっていないといけないのかな、とは思いましたが。一応人格は人のままで、不死の力を取り入れたという設定ではあるので、人対人と言えば人対人ではありました。

ただ、序盤の展開を見る限りだとラスボスは絶対にグスタドルフだと思っていました。
タラースとエリカが咬ませ犬だというのは見た目通りでしたが、最終的にどのルートでもグスタドルフがラスボスということがなかったのは意外でした。

ここからは各ルートを詳細に語ります。

最初に到達したのはフレデリカルートで、ローゼル族を解放して世界の果ての向こう側にあるというセントラリアを目指す、というものでした。
今まで守り抜いてきたウォルフォート家を捨てるという選択はどうなんだと思ったものの、パラメータ的にベネディクトルートに入れなかったので、ロランルートよりはこちらの方がまし、と思って選びました。
このルートだとベネディクトが離脱してしまうものの、戦力的にはあまり痛手に感じませんでした。
ローゼル族を蜂起させるときに女神像の中にある大塩柱を暴くのかと思いきや、女神像を半分くらい破壊するだけで終わったので、ちょっと違和感が残りました。
また、最終的にセントラリアに到達するもののセレノアが行方不明のままで終わり、ノゼリアは小国に分裂して大戦乱の時代へ突入するという結構なバッドエンド仕様で、最初に到達したエンディングとしては結構きつかったです。
ただ、エピローグ内でグスタドルフの下についたベネディクトについて、グスタドルフが「あいつは過去の約束に生きている」と評したのは凄く的を射ているな、と思って感心しました。

2周目で到達したのはベネディクトルート。
真ENDルート以外の最終選択の中では、これが1番未来のノゼリアのためかな、と感じました。
グスタドルフと共闘してみると、身分の差に関係なく実力のある人を取り立てるというグスタドルフって結構いい人じゃん?、と思ったりもしました。
このルートではロランが離脱してしまうものの、ロランがグスタドルフと共闘出来ないのは両親を殺されたからという理由なので、国のためなら私心を捨てるべきでは?、と思ってしまい、ロランが抜けると言い出してもあまり共感できませんでした。ロランはユニット性能としても結構打たれ弱いので使いにくい部分があったというのもあり、抜けてもあまり痛手ではありませんでした。
最終的にはハイサンドを滅ぼしてセレノアがグリンブルクの王になるという結末で、これはこれでアリじゃないかな、と思いました。ノーマルENDの中ではこの結末が1番納得できました。
ただ、グスタドルフの意向が強く出る結末で、世界は弱肉強食となって、弱い者を助けることがない世界になるってことで、ちょっとした後味の悪さもありました。
ロランはイドーと共に弱き者を助ける宗教を細々と始めていて、まぁそういう結末もアリかなぁ、と。

3周目で到達したのがロランルート。
ハイサンドに新鉱山を差し出して、ハイサンドの女神教を全世界で信仰するようにしよう、というもの。
このルートではフレデリカが離脱。ハイサンドに降るということは虐げられているローゼル族を見捨てるということで、ローゼル族の血を引くフレデリカとしては耐えられない、ということで。これはもう仕方ないことだな、と思っていましたし、これまでの2ルートを見た結果フレデリカが抜けるとわかっていたので、抜けても仕方ないかな、という思いが強かったです。
ただ、フレデリカは魔法ユニットの中では1番使いやすいユニットだったので、離脱は割と痛かったです。
また、敵となったエスフロストの将兵たちが「ハイサンドのやり方で世界を支配したら自由が一切なくなるぞ」とことある毎に言ってくるのが割と心に刺さって、そうなるからこのルート選びたくなかったんだよ、と思ったりもしました。
最終的には女神教によって世界統一されて、女神教の教義に従う人たちは全て平等に扱われるけれど、反抗する人は塩湖で強制労働させられるという終わり方でした。ストーリーの中で世界の英知を集めた大書院が焼けてしまって、宗教で世界を支配するために知識を失くしてしまったという部分も、人類の進化が止まってしまったように見えて、いろいろ納得できない終わり方でした。
フレデリカは正しい歴史を伝えようと一部の支持者と共に小さな宗教を起こすという流れでしたが、多分これは生涯報われないんだろうなぁ、と感じました。
ただ一つだけ、味方になるとイドーとかエグスアムがかなりいい人に見えて、ほとんどのルートでは敵だけど味方なら味方でいい人なんだな、と感じられたのは目からうろこの思いがしました。

そして、4周目で到達した真ENDルート。
特定のルートを通ると最終分岐の選択肢の1つとして出現するのですが、攻略サイトなしだとまず到達できないルートに見えました。ましてや1周目で選択の結果どうなるのかがわからない状態だったら尚更。
例えば、塩の密輸を手伝うか告発するかの選択のとき、正解は密輸を手伝った上でスヴァローグと共闘の約束をしないといけないのですが、大抵の人は告発を選ぶのではないかと思いました。
また、グリンブルクを取り戻した後で、意識不明から回復した父親の見舞いに行くか、国内の不正を調査するか、ローゼル族の村の近くに出る盗賊を退治に行くか、という選択での正解は父親の見舞いなのですが、国のことを考えるなら今すぐ死にそうなでもない限り父親のことって後回しにするんじゃないかなぁ、と。まぁ、この直後に父親が暗殺されてしまうので、結果が分かった後なら見舞いに行くだろうな、と思うわけですが、初見で見舞いは行かないなかなぁ、と。
真ENDルートは2周目以降で見るべきエンディングなので、普通にプレイしたらあえて到達しないようにしたのかもしれませんが。

話としては、離脱者なしで、これまでに出会った人たちの協力を得てベネディクト・フレデリカ・ロランの主張の折衷案を取る、という流れでした。
ただ、ロランの主張はあまり含まず、事実上ベネディクトとフレデリカの折衷案に見えました。
ハイサンドの塩湖で強制労働をさせられているローゼル族を蜂起させ、エスフロストの協力を得てハイサンドを堕とすという流れで、戦いの中でグスタドルフが死ぬというのもあって、最終的に世界は塩が広く平等に与えられつつ国の垣根を徐々になくして世界を統一していこう、という理想的な話でした。
確かにグスタドルフは身分の差関係なく有能な人は取り立てるけど、自分に逆らう人は強制排除していく強権派なので、グスタドルフがいない方が世界は統一しやすいよなぁ、と思ったりもしました。
また、最後の最後はセレノアとフレデリカの結婚式で終わるといういい感じのハッピーエンドで、序盤の伏線を全回収した感じでなかなかよかったです。

3つのノーマルENDを見たからこそこの感動が味わえるよな、と思えました。
なお、真ENDを見るとタイトル画面で全てのルートのエンディングまで含んだ名場面集がボーカル曲と共に流れるようになる、という仕掛けはなかなか良かったです。

隠しキャラを含めた全ユニットを一通り使ってみて、強いと思ったのは、マクスウェル、アヴローラ、セレノア、アンナでした。命中率さえ上がれば弓兵は全員強い印象でした。
他のキャラのサポートにつけることで強いのはコハク、ユリオ。回復はジーラ一強だったように思います。
ユニットのバランスとしては、魔法系回復ユニットがあと1人くらいほしかったな、と。
弓兵は多いものの槍兵が少なめで、防御特化型も少なかったかな、と感じました。
個人的によく使っていたのはセレノア、フレデリカ、マクスウェル、ルドルフ。
アヴローラは真ENDルートのみに出てくるお助けユニット的な扱いだったので、活躍の場が少し少なめで残念でした。

一通りプレイして楽しめたので、続編が出たらまたプレイしたいです。
nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:コミック

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。